まわりが全員敵に見えたあの日 189への電話が孤独から救ってくれた


 「もうちょっと優しくしたら?」
 両親のもとへ子どもを迎えに行った時だった。「帰りたくない」と駄々をこねる子どもに、つい言葉を荒げると、両親からこう諭された。気軽に預かってくれて助かっていたけど、帰ろうとするたびにひと悶着あるのが悩みだった。
 夫に両親との一件を話したのは、いつも通り味方になってもらいたかったからだ。なのに、その日に限って「確かに言い方キツいよね」と言われ、私は気持ちのやり場をなくしてしまった。
 やんちゃ盛りの子どもと、どう接すればいいのか。溜まっていた不安が爆発したかのように押し寄せ、寝付けないでいた時、頭に浮かんだのが「189」だった。こんな夜中に、連絡してもいいのかな。おそるおそる電話を手に取った。
 注意されることはあっても、子育てを褒められる機会はほとんどない。泣きながら悩みを打ち明ける私の言葉を否定せず、ひたすら受け止めてくれた担当の方の声に、不安で押しつぶされそうだった心は落ち着いていった。
 担当の方は、「ほかにも頼れる先がありますよ」と地域の相談機関を紹介してくれた。夫や両親に言いづらいことでも、耳を傾けてくれる人たちがいる。「いつでも相談してくださいね」。この言葉が、私のおまもりになっている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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