里親の務めは終わったけれど 子を想う気持ちに終わりはない


 里親になった私たちのもとに来たのは、ひとり親家庭の女の子。経済的に苦しい生活の中、状況をうまく受け止めきれず、お母さんとケンカばかりで、精神的に不安定になっていました。
 高校へ遅刻しそうな日は駅まで送迎。毎日夕飯を囲んで、今日あったことを聞いた。春はお花見、夏は花火と季節の行事も一緒に楽しんだ。「この子のために今できることは何だろう」と、常に自分に問いかけながら過ごす毎日は、とても新鮮で。それでも、最初は学校に通うことすらままならなかった子から、大学への進学希望を聞く日が来るとは思ってもみませんでした。
 「お母さんからは、進学は経済的に厳しいって言われて迷ってる」と打ち明けられたときには、何とかして子どもの願いを叶えてあげたいと思いました。そこで、子ども相談センターさんに相談すると、「奨学金制度もありますから、学校とも協力して、一緒に進路を考えていきましょう」とお母さんに呼びかけてくれました。
 「この家で過ごせて、ほんとうによかった!」
 無事進学が決まり、私たちの家から巣立っていった日にくれた別れの手紙は、掛け替えのない宝物です。ともに暮らした日々に感謝しているのは私たちも同じ。あの子の未来が明るいものであるように、ずっとずっと祈っています。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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