助けたいのは「いま」だけじゃない この行動が未来に繋がると信じて


 「お父さんとお母さんに会いたい」「娘を返して」。互いを思う親子を前に、誰のための一時保護なのか、何がお子さんの最善の利益なのか。子ども相談センターとしても検討を重ねたうえでの対応でした。
 お父さんからの性的虐待が疑われたケース。意味もなく体を撫でられイヤな思いをしたと話すお子さんの姿に、再被害を防ごうと、一時保護に踏み切ったのです。お子さんの話以外に証拠はなかったものの、そんな発言をすること自体、良くない影響です。だからこその対応でしたが、お母さんの立場を考えれば、受け入れがたい気持ちも理解できました。「子どもの勘違いではないか?」という疑いを捨てきれず、「娘を奪われた」「家庭を壊された」と、私たちへの不信感が強まっていくのを感じました。
 お父さんといったん距離を置くことを条件に、お子さんはお母さんの元へ帰る予定ですが、これはゴールではなく、あくまでスタート。お父さんとの関係をどう整理するか?お子さんの精神的なケアは?考えなければならない問題は山積みです。関わり続けること自体簡単ではありませんが、一歩ずつできることを積み重ねていこうと、親子の未来のために気持ちを新たにしています。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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