「この子にとって大切なことは?」 決心を後押しした我が子への愛情


 いつ学校から連絡があるかと思うと、気が気じゃなかった。娘は授業中じっとできず、ほかの子にちょっかいを出して迷惑をかけてしまうことも。病院にかかった方がいいのはわかっていた。それでも、自分たちがちゃんと躾ければ、何とかできると信じたかった。「お母さんに叩かれた」という娘の言葉をきっかけに、子ども相談センターの人がやってきたのはそんな時だ。
 「このままじゃなにも変わらないし、お子さんにとっても良くないですよね。医療につながって、教育も本人に合ったものを受けませんか?」
 センターの方の話を参考に学校の先生とも相談し、試しに特別支援学級へ通い始めた。「これをしたら、好きなことをしていいよ」という授業スタイルは娘に合っていたらしく、席に座ったままでいられるようになったのは、私たち家族にとって大きな成長だ。
 電話が鳴るのを恐れていた時からは考えられないほど、気持ちに余裕が生まれた。今も娘に対してカッとなって手が出そうになることはある。そんな時は一旦散歩に出てクールダウンする時間を作り、何をどうしてほしいのか、夫から娘に話をしてもらっている。最初、選ぼうとしなかった選択を促してもらったことで、家族は良い方へと向かい始めている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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