ご飯を食べる。友だちと遊ぶ。 そんな当たり前の生活を守るために


 私たち子ども相談センターが関わった母子家庭の話です。コロナ禍、お母さんは仕事が見つからず、食事もままならないほど生活は困窮を極めていました。市町村などが協力して生活支援の提案をするも、受け入れてもらえません。
 私たちも、心身の健やかな成長の妨げになる養育環境からお子さんを守るため、関係機関と協力し関わっていました。しかし、いよいよ水道や電気、ガスが止まり、このままでは命に関わると、お子さんを一時保護するに至りました。
 もちろん、お子さんと親御さんが一緒に暮らせるなら、それが一番です。できないために一時保護という手段をとるのですが、できない度合もいろいろあり、それでもどこかで線引きしなければなりません。今回は身の安全と生活の立て直しのためでしたが、「一緒にいたい」と嫌がる親子を離すのは、胸が詰まる思いでした。
 お子さんは児童養護施設へ入所し、子どもらしい体型が戻ってきました。通えていなかった学校の友だちとオンラインゲームで遊ぶ姿は、あのままだったら見られなかったでしょう。栄養失調と心の病気が疑われたお母さんは入院中です。「家にいたらご飯もないから、病院にいてくれて安心する」。そう話すお子さんの姿に、あのときの判断が報われた気がしています。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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