子どもたちの力になりたい だから私は里親になった


 息子が成人して、気持ちに少し余裕ができたころだった。テレビで見た里親家庭のドキュメンタリー。何か社会貢献がしたいと考えていた私にとって、子育ての経験が生かせる里親は向いているかもしれないと思った。
 調べてみると、窓口は子ども相談センターだった。ドキドキしながら職員さんに制度について話を聞くと、より里親という役割に興味が湧いてきた。
 いろんな事情を抱える子どもを、本当に育てられるのか。温かく家庭に迎え入れ、深い愛情をもって受け止められるのか。その責任の重たさに、不安がなかったわけじゃない。だけど、研修で学び、実習で実際に施設を見学して、支援を必要としている子どもたちのために、誰かがやらなきゃいけないんだと分かった。
 私の行動に最初は驚いていた夫と息子は、研修や実習で学んだことを話すうちに、里親の必要性を理解してくれたようだ。「できる範囲で力になりたい」という私の願いに、「みんなで支えるよ」と心強く応援してくれるようになった。
 もうすぐはじめての顔合わせだ。我が家にやって来るのはどんな子だろう。「はじめまして。会えてとってもうれしいな」。笑顔でそう言える日を、楽しみにしている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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