大切なのは意見の押し付けではなく 子どもの心の声を聞くことだった


 私たち親の願いで始めた子どもの習い事。娘はめきめきと上達し、同じ時期に始めた子の中で群を抜いた好成績を残すようになった。
 家族一致団結して、娘を応援しよう。そう思って、何よりも習い事を優先させてきた。ところが娘から少しずつ笑顔が消え、習い事の日はため息が絶えなくなっていた。そんな娘の様子を夫に相談したら、激高した夫は娘に手をあげ、子ども相談センターの人がやってきた。
 「やっと習い事をやめられる!」
 どうしても習い事を頑張らせたい夫と一旦距離を置くと、娘は今まで我慢していた気持ちを教えてくれた。習い事をやめたいなんて言えば、私たちの期待を裏切ってしまうと思い、ずっと胸に秘めていたらしい。
 本当にやめさせても良いのか、私の中の迷いは、子ども相談センターの職員さんをはじめ、いろんな人に相談するうちに消えていった。娘には娘の意思がある。可能性を広げてあげたいと思っていても、親の意見の押し付けでは逆効果だったんだ。
 今でも夫は習い事を続けてほしいようだ。だけど私は、娘がこれから興味を持つものを応援すること、応援できる環境を整えるのが親の本当の役割だと、今は思っている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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