閉ざされかけた家族の未来 周囲の支えで光が射しこむ


 交通事故で大ケガを負い、長期にわたって入院せざるを得ない状況になった。父一人、娘一人の生活で、近くに頼れる人もいない。娘は児童養護施設に預かってもらうことになった。何とか退院したはいいけれど、事故の後遺症で長時間働けない状況では娘を引き取れるはずもなく、離れ離れの生活は続いた。
 そんな中、向き合うことになった娘の進路。娘は大学に進学したいという夢を持ちつつも、私に負担をかけまいと、就職すべきか迷っていた。もちろん娘を応援したいけれど、実際問題家計に余裕はない。夢と現実の板挟みになり、話し合いは喧嘩へと発展した。
 「施設出身の子どもたちを対象にした支援制度がありますよ」。施設や子ども相談センターの皆さんの声掛けのおかげで、進路が決まった。将来の不安が解消されたおかげだろう。娘はみるみる学力が上がり、無事志望校に合格。必要な資金も高校卒業までに貯められた。
 頑張る娘に触発され、私も3月から正社員として働いている。「おかえり」「ただいま」。進学先から帰省してくる娘と笑い合えるようになれたのは、施設やセンターの皆さんのおかげだと感謝してもしきれない。娘を育ててくれて、私たち家族を繋いでくれてありがとう。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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