孫と離れた寂しさと後悔 もう絶対に、手を上げない


 息子はシングルファーザーだ。土日も休みなく働く息子に代わって、わたしが孫2人の面倒を見ている。
 お姉ちゃんは落ち着きがなく、片付けなさい、お風呂に入りなさいと言ってもダメ。「もうこんな時間なのに」。そう思ったら、ついお姉ちゃんを叩いてしまっていた。
 あざを見つけた学校からの通告で、子ども相談センターの人がやってきた。職員さんのアドバイスを聞いた息子は、生活に困らない範囲で休みをとってくれるように。わたしだけでこなしていた子育ての負担は減り、息抜きの時間を持てるようになった。
 息子とは養育方針が違うから、不満がないわけではない。それでも以前と違って、職員さんが定期的に話を聞いてくれるおかげで、心の中に溜まったモヤモヤをリセットできる。新たな気持ちで、子育てに向き合える機会があるのはありがたい。
 お姉ちゃんを叩いてしまったあの瞬間を、何度も思い出す。たしかにイライラしていたけれど、絶対に手を上げてはいけなかったし、一時保護で孫と離れたのはすごく寂しかった。同じことは2度と繰り返さない。職員さんとの面談を終えるたびに、決意を胸に刻み込んでいる。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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