「この悩みって、わたしだけなの?」 頼ったのは189への電話


 「近寄らないで」「どっか行って」。直接息子に手を出したことはないけれど、これは言葉の暴力だとわかっていた。
 2歳過ぎまで夜泣きに悩まされ、今でも泣き声を聞くたび、辛かったころがフラッシュバックする。自分が責められているような、あの恐怖。息子に接すること自体が苦痛と感じていた。
 このままだと息子に悪い影響があるんじゃないか。心配でたまらなくなったわたしが頼ったのは「189」だった。親なら我が子が可愛くて可愛くてたまらないのがフツウだろう。だから周囲の誰にも、気持ちを打ち明けられなかった。
 「わたしと同じような悩みを持っている人はいるんでしょうか?」。相談に乗ってくれた子ども相談センターの人にそう尋ねると、同じ悩みを抱えたお母さんと繋げてくれた。
 苦しんでいたのは、自分だけじゃなかったという安堵感。こういうときどうするのか、意見を交わすことができたのも役に立った。
 正直今もまだ、息子が可愛いとは思えない。それでも息子にとって良くないことはしないように心掛けている。褒めるときに息子をぎゅっと抱きしめたり、祖父母を頼ったり、息子のために、そして家族のために、わたしにできる最善の子育てを見つけたい。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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