いつか巣立つその日まで あたり前の愛情と、温かな家庭を


 わが家で暮らす子どもたちは高校生から、保育園児まで、年齢がバラバラ。共通しているのは、この子たちと里親であるわたしに血のつながりはなく、わたしは育ての親。だけど里親として愛情を注ぐことに、血のつながりは関係ないと思っている。
 そんなわが家に新たに男の子を迎えた。実母はシングルマザーで、生活を立て直すあいだ一時的に預かってほしいと、子ども相談センターを頼ったらしい。
 リビングにモノを散らかすし、ペット用のおやつを口にしようとする、やんちゃ盛りのこの子を育てるのに、さぞ苦戦しただろう。大変なこともあるけれど、ペットと遊んだり、ダンスを踊ったり、ほかの子どもを巻き込んで元気いっぱい遊ぶ姿を見ていると、わたしも笑顔になるし、可愛いなあという気持ちがこみ上げてくる。
 共に過ごせば過ごすほど、増していく愛着。いつか別れる日を思えば、もちろん寂しい気持ちはある。ただ、もともと生活が整うまでという約束だし、子どもにとっては実親のもとで健やかに暮らすのが一番だ。
 この子の成長に立ち会える一瞬一瞬を大切にし、役割を務めきる。それが里親としての覚悟だ。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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