遠方に住む妹の孤独な育児 救ったのは「助けて」の電話


 「このままじゃ子どもを叩いちゃう!」妹はパニック状態で児童相談所全国共通ダイヤル「189」に電話をかけた。大企業に勤める夫と2歳児の3人家族。まじめで完璧主義な妹は、4時に起きて家事をこなし、育児も優等生。だけど「何をしてもイヤとしか言わない」「子どもの泣き声が頭に響いてつらい」と苦しんでいた。
 私たち姉妹は、幼いころから厳しく育てられ、ほめられた記憶は皆無。義弟までもが妹に厳しく、家事も育児も完璧にこなして当たり前と思っている節がある。2歳を過ぎたイヤイヤ期の姪との暮らしに行き詰まりながら、誰にも吐き出せず、日頃の頑張りをねぎらってくれる人もいない。そんな状況に追い詰められていた。
 子ども相談センターの方は親身に根気強く、本人や家族の話を聞いてくれた。保育園に預ける提案をはじめは拒んだ妹だけど、一時預かりで外出した後、子どもへの愛情が増したことに驚いたそうだ。入園を決め、そして仕事をはじめた。
 社会とつながり、仕事で評価されることで、自分の存在価値を認められるようになった妹。仕事帰りに子どもと再会する瞬間が至福だと微笑んだ。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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