「どうか健やかに成長してほしい」 子への想いが私を親にしてくれた


 10代で迎えた初めての妊娠・出産。「ママとしてちゃんと育てられるのかな」。生まれたばかりのわが子を連れ、病院から自宅に帰ってきた私は、これからの生活に頭を悩ませた。
 身近に頼れる人はおらず、夫が不在のときは一人で面倒を見なければならない。家庭訪問で訪れた保健師さんに不安を打ち明けると、一時保護を提案され、子ども相談センターに繋いでくれた。
 しかし、いざ一時保護されてみると、不安が解消された代わりに、会えない寂しさが募っていった。成長をそばで見守りたいけれど、育児能力が低いままでは、満足に育てられない。「子育てに慣れるまで、里帰りをしてみては?」。どうしたら家族で過ごせるようになるかを考えてくれた子ども相談センターの提案に、帰省を決めた。
 おむつの交換方法に、ミルクのあげ方、お風呂の入れ方。両親に助けてもらいながら、少しずつ子育ての仕方を覚えていった。
 自宅へ戻り、新たなスタートを切った。不安がないといえば嘘になる。だからこそ、周囲の力を借りながら、一歩ずつ親として成長を積み重ね、自信にしていきたいと考えている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
パソコン用の画像スマホ用の画像