「この子にはこのくらいしないと!」 という思い込みからの脱出


 私の言うことは聞かない、癇癪は起こすし、友達に手を上げる。何度言ってもダメ、叱ってもダメ。「出て行きなさい!」と脅してもダメ、叩いてもダメ、蹴ってもダメ。全然「良い子」にならず、学校でも問題ばかり起こしていた娘。「私はちゃんとやってるのに……。もう手に負えない」と限界を感じていた頃、子ども相談センターの人が家にきた。「なんで!?」と驚く半面、「助かった」とホッとする自分もいた。「何か困ったことはありませんか?」という穏やかな言葉に、堰を切ったように苦しかった思いが口からあふれ出た。
 衝動性が高い娘への接し方や声のかけ方をアドバイスしてもらい、半信半疑で試すうち、何をしてもダメだと思っていた娘の反応が、少し変わったのだ。私を困らせたいわけじゃない、むしろ仲良くしたがっていたと気がついた。その瞬間「愛おしい」という感情が込み上げてきた。「かわいいわが子」という気持ちを思い出して、心からホッとした。
 親子といえども、個性のぶつかり合い。少しのボタンの掛け違えで、関係は悪化する。取り返しがつかなくなる前に、軌道修正してもらえたことに感謝している。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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