夫の勇気がコロナ禍の 「孤育て」から救ってくれた


 夫が海外への単身赴任中に起きた新型コロナウイルスの流行。離れ離れの夫に近況を伝える連絡は、子育てに関する愚痴ばかりになった。
 友人や身内が近くにいないわたしを心配した夫は、地域の相談機関を調べたらしい。子ども相談センターの職員さんが家にやって来たときは、夫に対して「何でそんな余計なことを」と思ったけれど、センターへ通ううちに少しずつ気持ちが楽になっていくのを感じた。
 娘ができないことに関して、わたしは「やれない」のではなく「やらない」のだと思い、口を出し過ぎてしまう癖があった。「お子さんの気持ちに共感する言葉をかけてみては」などと、職員さんは、表現することが苦手な娘の特性を踏まえてアドバイスをくれた。「やればできるはずなのに」という葛藤はやっぱりまだあるけれど、何とか折り合いをつけている最中だ。
 帰国できない状況が続く夫とのコミュニケーションは、引き続きビデオチャットが頼り。この前は娘が元気に本を読む姿を夫に見せた。あのとき夫が相談していなかったら、わたしはいまもひとり抱え込んだまま、この子の笑顔もなかったかもしれない。わたしの気持ちに寄り添ってくれる場所の存在が、誰かに頼る大切さを教えてくれた。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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