「家事も仕事もちゃんとしなきゃ」 気づけば親子の時間がなくなっていた


 朝から夜まで働いて、帰ったら家事をこなす毎日。夫とは離婚して、頼れる親族は近くにいない。誰にも相談できないから、一人で抱え込んでいた。娘をつい叩いてしまったのは、そんなときだ。
 「少し子育てを休みませんか?」。一時保護が決まった最初は離れたくない思いでいっぱいだったけれど、落ち着いて親子のあり方を考えようと、子ども相談センターの人がさとしてくれた。母子家庭向けの支援を調べてくれて、娘との関わり方についても助言をくれた。
 「娘さんと話す時間はありますか?」「表現するのが苦手なだけで、娘さんもお母さんを心配しているよ」。子ども相談センターの人の言葉に、ハッとした。確かに一生懸命ご飯をつくっても、一緒に食べる時間はなかった。「全部ちゃんとやらなきゃ」。必死になるうち、家族の時間はめっきり減っていたと気づかされた。
 娘はずっと、サッカーの練習を見に来てほしかったらしい。忙しさを理由にずっと断っていたけれど、少しの時間を見つけて観戦するようになった。「がんばれ!」。ボールを追いかける娘を応援しながら、わたしも娘からパワーをもらっている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
パソコン用の画像スマホ用の画像