家庭以外の居場所の存在が 親子の適切な距離を教えてくれた


 念願の家族水入らずは、つらい日々の始まりでもあった。
 子どもの発達の特性、私の病気の治療と、さまざまな理由が重なり、子どもを児童養護施設へ預けていた。数年ぶりに一緒に暮らせることになり、子ども相談センターでは夫とそろってペアレントトレーニングを受け、改めて育児に向き合う準備をしたつもりだった。
 それでも息子の特性が変わるわけじゃない。気に入らないと暴れる。言うことを聞いてくれない。困っているうちに息子は学校へ行けなくなり、子ども相談センターへSOSを出した。
 「私たちだけじゃ抱えきれない。子育てがしんどい」。私の相談に、子ども相談センターは子ども家庭支援センターを紹介してくれた。子ども家庭支援センターは、施設入所中に親子面会で利用していた場所。息子はすぐに馴染んで、遊んだり、職員さんに話を聞いてもらったり、定期的に利用するようになった。私にとっては、子どもと離れてホッと一息つける時間ができた。
 息子が以前と比べて落ち着きを見せるようになったのは、のびのびと過ごせる場所ができたおかげだろう。今後も息子にとって居心地がよく、自分のペースで成長できる場所を増やしてあげたいと考えている。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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