互いの認識のズレがいつの間にか 家族の中に溝を生んでいた
スマホの使い過ぎを叱った私が気に食わなかったのか、ものを投げてきた娘を思わず叩いた。「189番へ連絡する!」。そう怒る娘に、私は「勝手にすればいい」と突き放した。もちろんすぐに我に返って、叩いたことを謝り仲直りをしていた。だから、子ども相談センターの人が訪ねてきても、余計なお世話と最初は思った。
「なぜ気に食わなかったのか」。センターの職員さんとともに話し合うと、家族それぞれの気持ちがすれ違っていたことに気づかされた。
私にとって、家族はいつも一緒にいる存在で、なんでも分かってもらえると思っていた。でも、娘は子育ての相談のため長電話する私に、「ママも長い間スマホをさわってるのに」と思っていたらしい。また私とは違い、一人の時間を大切にしたいと思っていたようだ。
パパ友がいない夫は、相談相手がほしいとずっと悩んでいた。だから、夫は娘の学校の先生、娘はスクールカウンセラー、私は地域の相談員を紹介してもらった。家族のすれ違いによってため込んでいた気持ちを、それぞれ吐き出させてくれたのは、とてもありがたかった。
心のすれ違いを防ぐには、言葉を尽くすしかない。「それくらい察してよ」じゃなくて、分かってもらう努力を忘れないようにしたい。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。