あのときの涙は無駄じゃなかった そう思える未来をつかめますように


 もともとはお母さんの育児不安を理由に、私たち子ども相談センターが関わり始めたケースでした。しかし、問題を紐解いていくと、お母さんの不安の背景には、お父さんからのDVが隠されていたことがわかってきました。
 「自分には何もできない」。自信を失っていたお母さんでしたが、ご自身の入院とお子さんの一時保護をきっかけに冷静さを取り戻し、支援者の協力も得て離婚を決意されました。
 お子さんは今、お母さんと一緒に過ごせるようになる日を夢見て、施設で暮らしています。不安で仕方ないのか、お母さんとの思い出が詰まったぬいぐるみを片時も離そうとしません。さびしさは拭えませんが、あのまま家庭にいたら、お子さんにどんな影響が出ていたかわかりません。たとえDVの現場を見ていなかったとしても、そして直接は手をあげられていなかったとしても、暴力で人を支配するような家庭状況が良いはずはないのですから。
 それでも、精神的な依存状態にあったお母さんにとって、お父さんと離れる決断をすることは並大抵のことではなかったでしょう。だからこそ、「未来を守ろうと決めたお母さんの勇気に応えたい」「2人を見守り応援していきたい」と胸を熱くしています。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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