この家族にとっての幸せは? 親と子、ふたりの声に寄り添って


 私たち子ども相談センターが関わった、あるひとり親家庭のお話です。出産後、身体の機能が未熟だったことから、お母さんは赤ちゃんと一緒に退院することができませんでした。面会する姿を見ていると、ひとりで育てるには不安を感じる状態。さらに親類宅に身を寄せており、経済的にも不安がありました。
 そこで、赤ちゃんはいったん施設に預け、その間に育てられる環境を整えましょうと提案したのです。「そっちの都合ばっかり」との言葉に、こちらの想いを上手く伝えられないもどかしさを感じた時期もありました。それでも今では面会の約束をする際に、「会うのを楽しみにしていますね」と言っていただける間柄です。
 親子の関係性づくりは始まったばかり。道は長くても、ふたりで暮らせるその日まで、協力機関と共に支えていくのが私たちの役割です。
 「どうしていっしょのおうちじゃないの?」と、お子さんが疑問に思う日が来るかもしれません。お子さんが望んだとき、家庭の準備が整っているかどうかは予測がつきません。ふたりにとっての最善を考えるために、お子さんからも心の奥に潜む願いを明かしてもらえる信頼関係を築く必要があると、いつか来る未来を想像しています。
 
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。
 
 
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