離れることも時には必要 専門家にゆだねる勇気がやっと…
重い自閉症の息子と
傷つけ合う毎日
県外から転入して数か月。息子との暮らしに限界を感じ始めた。重度の自閉症で言葉もままならない彼は、ストレスを感じるとわめき、最後は自傷行為。仕事をしながら育てるのは本当に大変で、ぶつけようのない怒りや困惑を抱え、「お前のせいで私は大変なのよ!」と暴言を吐くこともしばしば。息子の叫び声と私の怒鳴り声が響き渡り、児童相談所全国共通ダイヤル「189」へ通告されたようだ。
障がい児施設への入所を勧められたけれど、苦労しながら15年間頑張って育ててきた大切な息子。預けることに抵抗がないわけがない。でも、体力的にも精神的にも限界に近く、私の荒ぶる言動はきっと息子にとっても悪影響。子ども相談センターの方の「障がいが重いのは誰のせいでもない。抱え込まないで、専門施設に任せて療育も受けさせてみたら?」という言葉に決断できた。
入所して数か月。衝動行動が減った息子との面会はとても平穏で、連れて帰りたい気持ちが高ぶるほど。こんなに穏やかな時間が流れるなんて……。これからも母子の前に問題は立ちはだかるだろうけど、今回のことで大切なことを学んだように思う。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています。